利用者の高齢化が進むという現実

現在多くの障害者支援施設では、利用者の高齢化が進んでいます。日本では1970年代に国を挙げた福祉政策として、多くの障害者支援施設が開設されました。もちろんそれ以前から運営されていた施設や、最近になって新しく改設された施設も少なくはありませんが、1970年代に施設数が急増したことは事実です。

40年ほど前に入所した利用者の多くが高齢者と呼ばれる65歳を迎える中、障害者支援施設の高齢化は当然とも言えるかもしれません。 特別養護老人ホームをはじめとする高齢者施設に移る利用者もいますが、多くの利用者は、65歳を超えても障害者支援施設に入所し続けています。

それには複数の理由がありますが、まず第一に、高齢者施設には障害者介護に対するノウハウや経験がなく、障害者が入所できない施設が多いことがあります。第二の理由としては、障害者自身が長年暮らし慣れた障害者支援施設での生活の継続を希望したり、知的障害など障害の種類によっては、慣れない場所だと大きな不安を感じてしまったりすることが挙げられます。

これらの理由から高齢化が進む障害者支援施設では、老化によって深刻化する障害の症状や、身体的な疾患、看取りなど、従来は存在しなかった新たなニーズに応えることが急務となっています。そのため、障害者支援施設で働く介護職員には、障害者介護の技術だけでなく、高齢者介護の技術も身につけることが期待されています。障害者支援施設では、技術習得のための勉強会や講習会も開催されているほか、即戦力として高齢者介護の分野からの転職者も多数働いているようです。